お正月のお節会に参加したことのある政治家と、著名人を利用する天理教の戦略

予告通り、天理教本部で毎年1月5日〜7日に開催される「お節会(おせち)」に参加したことのある政治家について検討する。これは、私が天理教のデータを収集しているときに偶然に発見したデータ群である。もともと、天理教を信仰する政治家や、このお節会に参加した政治家がいることは知っていた。しかし天理教週刊新聞である天理時報で毎年発表されているとは知らなかった。今回は量的データではないが、非常に興味深い公人データであるので引用した。2004年以降のデータであるが、発表されていない年があったりもした(理由はわからない)。
政治家が特定の宗教法人にコミットすることは、政教分離の点でメディアの俎上に挙げられることがある。昨年末には、あるメディアで公開された天理教と政治家の話もあったようだ。
私は、個人の信仰心として政治家が宗教法人にコミットすることは信教の自由の観点から特に問題ないと感じる(近隣国との関係は抜きにして)。しかし、公僕としてそのお金の扱いは、注意する必要がある。上記のリンクでは政治家が「お節会」に参加した際に、天理教本部へのお供えを公費から支出したような記載がある。記事では、地元の買収として公職選挙法違反ではないかとある。私はもし公費から天理教への支出をしたのであれば、ちょっとどうかなと疑問が残る。例えば、物議をかもしている首相や官僚の靖国参拝などでは、肩書きは公人のまま、玉串料などは私費で支出しているとの報道が多い。靖国神社は私費で、天理教は公費というのであれば、その違いに疑問が残る。年明け2週間後に発刊される天理時報からの引用を下記に列挙する。

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天理時報4313号2013年(立教176年)
国会議員32人ら 新春の親里に来訪
お節会期間中、衆参両院の国会議員32人をはじめ、各党関係者がおぢばに来訪した(敬省略、総務部渉外広報課把握分)。

【5日】
(衆議院)泉健太、岸本周平、武正公一、田嶋要、馬渕澄夫、山口俊一
(参議院)石井一、大河原雅子、尾立源幸、榛葉賀津也、羽田雄一郎、前川清成、前田武志、松井孝治
【6日】
(衆議院)奥野信亮、川崎二郎、小林茂樹、近藤昭一、桜井宏、田野瀬太道、田村憲久、中谷元、橋本英教、福井照、前原誠司、盛山正仁、山井和則
(参議院)大家敏志、北川イッセイ、福山哲郎
【7日】
(衆議院)重徳和彦、西野弘一
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天理時報 2012年(立教175年)
お節会期間中、衆参両院の国会議員40人をはじめ、各党関係者がおぢばに来訪した(敬省略、総務部渉外広報課把握分)。
【5日】
(衆議院)石関貴文、泉健太、稲見哲男、大谷啓、大西孝典、岸本周平、楠田大蔵、小山展弘、阪口直人、高井美穂、滝実、武正公一、辻恵、萩原仁、松岡広隆、馬渕澄夫、森山浩行、吉川政重
(参議院)大河原雅子、尾立源幸、榛葉賀津也、中村哲治、羽田雄一郎、前川清成、前田武志
【6日】
(衆議院)川崎二郎、後藤田正純、高市早苗、竹本直一、田野瀬良太郎、田村憲久、中谷元、福井照、三ツ矢憲生、三原朝彦、山井和則
(参議院)大家敏志、北川イッセイ
【7日】
(衆議院)北神圭朗
(参議院)松井孝治
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天理時報4213号2011年(立教174年)
お節会期間中、衆参両院の国会議員43人をはじめ、各党関係者がおぢばに来訪した(敬省略、総務部渉外広報課把握分)。
【5日】
(衆議院)泉健太、稲見修二、稲見哲男、今井雅人、大島敦、大谷啓、大西健介、大西孝典、岸本周平、楠田大蔵、小宮山洋子、小山展弘、阪口直人、平智之、高井美穂、滝実、辻恵、長尾敬、萩原仁、橋本博明、羽田孜、森山浩行、吉川政重、吉田公一
(参議院)石井一、大河原雅子、尾立源幸、榛葉賀津也、中村哲治、前川清成、前田武志
【6日】
(衆議院)川崎二郎、熊田篤嗣、高市早苗、田野瀬良太郎、田村憲久、中谷元、福井照、山口俊一、山本拓
(参議院)北川イッセイ、藤田幸久、松井孝治
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天理時報4163号2010年(立教173年)
国会議員37人来訪
お節会期間中、衆参両院の国会議員37人をはじめ、各党関係者がおぢばに来訪した(敬称略、総務部渉外広報課把握分)
【5日】
(衆議院)石井進登志郎、稲見哲男、大西孝典、加藤学、岸本周平、熊田篤嗣、小宮山洋子、高井美穂、滝実、辻恵、萩原仁、橋本博明、羽田孜、平岡秀夫、向山好一、森山浩行、吉川政重
(参議院)大河原雅子、尾立源幸、林久美子、藤田幸久、前川清成、前田武志
【6日】
(衆議院)小原舞、川崎二郎、北神圭朗、後藤田正純、高市早苗、竹本直一、田野瀬太道、田村憲久、中谷元、前原誠司、山口俊一、山本拓
(参議院)浅野勝人、北川イッセイ
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天理時報4112号2009年(立教172年)
参議院議員おさづけの理拝戴 中川雅治さん
参議院議員の中川雅治さん(61歳・東右京分教会所属・東京都世田谷区)が昨年12月20日、おさづけの理を拝戴した。
中川さんは昭和44年に大蔵省(当時)入省。その後、国税庁調査査察部長や環境省事務次官などの役職を歴任し平成16年の参議院議員選挙で初当選。これを機に、知人の紹介で別席を運び始めた。
晴れてようぼくとなった中川さんは「現在、主に環境問題に取り組んでいる。2日の生活の中で火水風の御守護に感謝し、互いにたすけ合い、陽気づらしへ向かって成人していくこ姿が、環境問題解決の決め手になるのでは」と話した。

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天理時報4061号2008年(立教171年)
国会議員も多数来訪
衆参両院の国会議員41人をはじめ各党関係者が、お節会でにぎわう親里を訪れた(敬称略、渉外広報課把握分)。
【5日】
(衆議院)大島敦、小宮山洋子、仙谷由人、武正公一、田島一成、羽田孜、細野豪志、馬渕澄夫
(参議院)大河原雅子、大家耕平、尾立源幸、榛葉賀津也、高橋千秋、中村哲治、長浜博行、白眞勲、羽田雄一郎、林久美子、藤田幸久、前川清成、前田武志
【6日】
(衆議院)泉健太、岡本芳郎、奥野信亮、鎌田忠兵衞、川崎二郎、北神圭朗、木村隆秀、後藤田正純、木挽司、関芳弘、高市早苗、田村憲久、福井照、前原誠司、三ツ矢憲生、盛山正仁、山井和則、山本拓
(参議院)北川イッセイ、松井孝治
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天理時報4010号2007年(立教170年)
衆参両院の国会議員35人をはじめ各党関係者が、お節会でにぎわう親里を訪れた(敬称略、渉外広報課把握分)。
【5日】
大島敦、小宮山洋子、武正公一、田島一成、羽田孜、古川元久、馬渕澄夫、大塚耕平、尾立源幸、榛葉賀津也、白眞勲、前川清成、前田武志
【6日】
奥野信亮、川崎二郎、木村隆秀、後藤田正純、高市早苗、田村憲久、中谷元、三ツ矢憲生、三原朝彦、盛山正仁、山本拓、荒井正吾、北川イッセイ、北岡秀二、関芳弘、北神圭朗、細野豪志、山井和則、福山哲郎、松井孝治
【7日】
鍵田忠兵衛、後藤博子
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天理時報2006年(立教169年)
国会議員らも来訪
お節会期間中、衆議院から田村憲久議員、山本拓議員、七条明議員、田野瀬良太郎議員、前原誠司議員ら28人、参議院から8人の議員が親里に来訪した。(渉外広報課把握分)

素晴らしい教えをみんなに
四国比例区選出の衆議院銀、岡本芳郎さん(62歳・福島1区)が6日、おさづけの理を拝戴した。
川端守・浦庄分教会長の導きで別席を運び始めた岡本さん。一昨年おさづけの理を拝戴した後藤田正純代議士とも親交が深く、初席は共に運んだ。また、毎回、自身だけではなく秘書や友人、家族なども誘って別席に。「こんなに素晴らしい教えをぜひみなさんに聞いてもらいたかったので」と。
おさづけの理を拝戴した後、「別席の話を聞くたびに学ぶことが多くあった。今後はようぼく議員として、新人議員なども誘っておぢばに帰りたい」と話した。
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天理時報2005年(立教168年)
後藤田代議士がおさづけの理拝戴
徳島3区選出の衆議院議員、後藤田正純さん(35歳)が12月24日、おさづけの理を拝戴。「ようぼくとして、教えを日本のみならず世界に向けて伝えていきたい」と話した。
後藤田さんが初めて別席を運んだのは4年前、かねて交流のあった川端守・浦庄文教会長の導きによるもの。
親里で聞いた陽気ぐらしの教えに感銘を受け、「運命的な出会いを感じた陽気ぐらしはまさに私の目指す生き方そのもの」と、秘書と共に公務の合間を縫って、おぢば帰りを重ねてきた。
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天理時報3860号2004年(立教167年)
国会議員がお節会に
衆参両院の国会議員らが、お節会でにぎわう親里に来訪。5日には民主党から17人、7日には自民党から11人が、本部神殿に参拝し、会場に足を運んだ。国会議員らは、お雑煮に舌鼓を打ち、その後、餅焼き場を見学した。
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以上である。2004年以前も同様のものはあると思うが、面倒なので資料請求しなかった。もちろん、上記の表からは政治家が天理教にお供え金を支出したのかは分からない。同じく、どれくらい天理教にコミットしているのかも分からない。支援者にたまたま天理教人がいて、ふらっと来ただけなのか、信者として参加したのか。ただ全国組織の天理教という票田を考えない政治家はいないだろうが、純粋な天理教信者はどれくらいいるのか分からない。例えば2005年はお節会参加政治家一覧という記事はなかったが、後藤田正純議員が天理教信者(よふぼく)になったという記事もあった。(あの後藤田正晴の息子)
私は某学界のように、信者である著名人を広告塔としてあまり利用しない天理教に非常に好感を持っていた。しかし、近年天理教でも天理教道友社が発行している「すきっと」という雑誌が、「有名人」を利用した販売戦略をおこなっている。天理教のイメージ向上と定期刊行物で安定収入を得るという政策が考えられる。しかし天理教の古典的な布教政策が何も変わっていないことを考えると、目的を見失った迷走しか感じられない。しかも、この雑誌に登場する「著名人」は、天理教信仰者ではないそうだ。実際のところは私は確認していないが、知り合いの天理教に聞くと「ほとんど天理教信仰者ではないだろう」ということだ。
たとえば、「すきっと」vo.24を見てみよう。登場する人物として名取裕子(女優)、輿水精一(サントリー・名誉チーフブレンダー)、小松政夫、コメディアン)、桑野洋一郎(JALオペレーションコントロールセンター長)、≪特別寄稿≫ 中村修二氏 ノーベル物理学賞受賞記念(写真・文 小平尚典)、ご登場の主な方々椎名 誠(作家)、藤井一興(ピアニスト)、大八木淳史(ラグビー元日本代表/芦屋学園理事長)、島田久仁彦(国際ネゴシエーター)石井英夫(コラムニスト)、片山恭一(作家)、小平尚典(写真家)、中江有里(女優)という面々があげられる。
天理教を信仰しない著名人に天理教道友社が取材料を払って、一般的な話題を取材することにどんな意味があるのか私には分からない。まさか無償で取材を受けているなんてことはないだろう。
「天理教って著名人にも認められているんだぜ」という対外戦略か、対内的な発揚か。それとも出版販売からの収益か。私も数年前に読んだことがあるが、この内容でとても「売れる」とは思えなかった。もちろん、天理教の信仰を篤く語っている著名人もいない(天理教関係者はいたけど)。

天理教は著名人を利用しないというのは、認識を改めたほうがよさそうである。

追記
上記引用に関して、氏名の誤字脱字などがありましたら修正しますのでご連絡ください。
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tenrikyosyakaigakulavo@hotmail.co.jp

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