天理時報批判

私の家の近くには天理教の分教会がある。

その教会と私は何の接点もない。

その教会の前の道をよく私は歩いて通るのだが、
道路に面した教会の掲示板には天理時報が貼ってある。
時間があるときなどは、そこに貼ってある天理時報を立ち止まって
読んでいる。(私は天理時報を購読していない)

本日も外出した折りに予定時間まで余裕があったので天理時報を立ち読みした。

印象に残ったのは、なんだったかな。
確か「若者の性」についてのアンケート調査が行われている記事があった。
私は、その記事のチープな作りに驚倒しそうになった。
この「若者の性」の問題意識は「若者が巻き込まれる犯罪には性の問題が目立つ」という断定から
始まる。そして、アンケートの集計に触れ(といってもアンケート自体のサンプルは100名にも満たない
)それぞれの読者の感想を列挙してまとめているのだ。

おなじみの天理時報であるので、結論は「子どもと向き合いましょう」というような
現実と解離した「結局どうしたらいいの?」と思わせる抽象的理想主義で締めくくられている。

それはそれでいいが、私が気になるものとしては論点の古さ、構成の弱さに尽きる。
「若者の性」については80年代、90年代には教育界ではフェミニズムを中心にずいぶん議論されてきた。
(もちろん、現在でも「若者の性」について教育界で議論されているが天理時報で扱っているようなレベルの低い論点「子どもと性について話しますか」などは時代錯誤といってもいいだろう)

私はこの論点の古さには多少怒りを覚えた。それは、読者の感想にも原因はある。
読者の感想の一つに「看護師や保健師がきちんと性について教えてほしい」というような
感想が某教会長さんからの感想としてあったからだ。

私は学校教育についてはある程度の関わりと経験があるので怒りを覚えたのだが、
現在の性教育の開始は何年生からか、この教会長さんはご存知だろうか?
現在、小学校中学年には性教育についての授業が開始される。
また現場の教員は、養護教諭(看護師)とチームを組んで、
いかに早い段階から子どもにストレスなく性教育を行うかで試行錯誤している。
私は、どれほど現場の教員が苦労しているか知っている。

異なる側面を考慮せず、あたかも当然のことのように正論をかまし批判する大人は大人とは言わない。

そもそも大人世代の性の方がいい加減ではなかったか?
また性の氾濫や、それに通じる女性蔑視を父権性で隠蔽したきた歴史があるのではないか?
こういった反省なしに「いや、それでも私は真面目であった」などと言うのは大人の作法ではない。
ただのモテないオヤジである。

天理時報では若者論が好きなようだが、一番声を挙げることが少ない無難な若者を
ターゲットにするには、ちゃんと建設的結論を提示して頂きたいものだ。
(「子どもと向き合いましょう」には何の結論でもない。気持ちが悪いほど自己愛的結論である)
私は、こういったチープなジャーナリズムを断固肯定しない。
なぜなら、こういった議論から陽気ぐらしが全く見えないからである。
若者の性から陽気ぐらしへの道筋を立てるのが天理時報の使命ではないのか。

この記事を書いた人間を知らないが、構成段階で「若者が巻き込まれる犯罪には性の問題が目立つ」
というテーマの主観に危険性や内省は伴わなかったのであろうか。この記者にはもう一度大学で
ジャーナリズムと社会的責任について学ばれた方が賢明である。

また100人も満たないサンプルで若者論を論じるのも強引すぎる。
私は学術的に信頼性を高めるために統計的有意差を検討しろとは言っているのではない。
しかし、もう少し人数を集めるとか質問項目を検討するとか、先行研究をレビューするとか
頑張れるものではないだろうか。(天理大学という立派な研究施設があるのだし)
記者はそこまで、天理時報の記事には使命感はないのだろうか。
どんな文学研究でも、結局は流した汗とすり減った靴底が質を高めるということは大学に
在籍してペーパーを書いたものなら誰もが経験するものである。
思いつきや楽して書いたペーパーなど読むだけ時間の無駄である。
きょうび高校生でも、こんな適当な記事は書きやしない。

もう少し頑張ってもらいたいものである。

私は天理時報を読み終えた時の空虚感や喪失感というのは、どこか既視感があった。
よく考えると朝○新聞の読者のコーナーである。あれも正論が多いコーナーである。
正論を当たり前のように主張する人間ほど、慎みが感じられないものはない。

感謝、慎み、たすけあい、という標語はきっと天理教の人間に対してのものだろう。

天理時報批判」への1件のフィードバック

  1. ハノ

    ツイッターのリツイートから、興味深く読ませていただきました。現在養護教諭を目指している社会人学生の天理教信者です。

    文中に「養護教諭(看護師)」と書かれていますが、養護教諭は必ずしも看護師資格を持っているわけではないので(特に公立の学校では持っていない養護教諭の方が多いかと)、この表記は誤解を招くと思います。

    天理時報の記事の内容で言えば…内部に身内がおりますのでチラホラと聞こえてきますが、記者の人となり等よりも、やはり組織構造のあり方が問題です。主観で申し訳ありませんが、労働基準法を守れていない企業のようですし、良い記事を書いても昇進などは無いようです。マイナスな事は書けませんので、記事探しはなかなか大変そうです。

    興味深い内容が盛りだくさんで、いつの間にかこんな夜更けになっていました。とてもおもしろく、勉強になります。

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